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第1章 変額保険販売の背景

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変額保険の販売の背景を知っておこう!

生命保険市場をとりまく環境は、金融の自由化やお客様のニーズの多様化などにより大きく変化しています。

このような環境の変化に対応するために1986年(昭和61年)に「変額保険」が、1999年(平成11年)には「変額個人年金保険」が発売されています。

1.時代の流れで金融の自由化が必要になってきた

経済環境が変化すると、お客さまが金融に対して求めるものも変化していきます。この変化に対応するため、いままでの規制を緩めて金融の活動範囲を広げる必要が出てきました。これが「金融の自由化」です。この金融の自由化には金利の自由化に関するものと業務の多様化に関するものの2つがあり、これらは互いに密接な関係があります。

金利の自由化

国債の大量発行や金融の国際化により、公社債市場や海外市場といった自由金利市場が拡大しました。この結果、資金はより高い金利を求めて、政策的に低く押さえられていた銀行預金などの規制金利市場から自由金利市場へ流れるという傾向が強くなりました。

自由金利市場とは、資金の需給関係を反映して弾力的に金利が変動する市場のことをいいます。

業務の多様化

以前は分業主義で銀行・証券・信託・生保・損保などと区分されていたが、銀行などによる公共債の売買や証券会社による預金類似商品の取り扱いなど、お互いの業務に乗り入れる傾向が拡大しました。

1988年(昭和63年)には、生命保険業界においても国債の窓口販売業務が開始され、証券業界では、1998年(平成10年)12月から保険商品の窓口販売が解禁されました。

また、2001年(平成13年)4月には、銀行等による保険商品の窓口販売(いわゆる「銀行窓販」が一部の保険商品で開始され、2002年(平成14年)10月には生保の「個人年金保険(定額・変額)」と「財形保険」、損保の「年金払積立傷害保険」と「財形傷害保険」まで取り扱い範囲が拡大されました。

「銀行窓販」では、開始当初より運用実績によって将来の受取額が変動する生保の「変額個人年金保険」を中心に販売が行われました。その後、2005年(平成17年)12月の「一時払養老保険」「一時払終身保険」等の取り扱い範囲拡大を経て、2007年(平成19年)12月からは、すべての保険商品の販売が解禁されています。

ただし、「銀行窓販」では、保険商品の複雑性・特殊性や銀行等の業務の特性から、保険募集時のさらなる契約者保護を図るため、募集にあたっては弊害防止措置が設けられています。

「銀行窓販」の拡大を機に、現在では、多くの銀行や証券会社等で、個人年金保険(定額・変額)を中心に生命保険商品の販売が行われています。

2.お客様のニーズの多様化

平均金融資産保有額

「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、世帯員2人以上の世帯(金融資産を保有する世帯のみ)において、1980年(昭和55年)には500万円弱であった平均金融資産保有額は、1989年(平成元年)には1,000万円を超え、2022年調査では1,698万円となっています。

金融商品を選択する際のお客さまが重視している要素

金融商品を選択する際にお客さまが重視している要素としては、安全性が29.7%、流動性が20.2%、収益性が35.9%となっています。

このようなお客さまのニーズを満たす金融商品のひとつとして、預貯金や株式投資などと並んで、貯蓄機能・保障機能を兼ね備えた生命保険にも収益性を求めるお客さまの期待が高まることとなりました。

生命保険会社の対応

生命保険会社では、多様化するお客さまのニーズに対応するための調査。研究を進めた結果、これまでに多くの種類の変額保険や変額個人年金保険が開発・販売されています。

3.変額保険の販売

変額保険販売の背景

金融の自由化やお客さまのニーズの多様化などを背景として、生命保険についても、資産運用の実績により保険金額などが変動する変額保険に対するニーズが高まりました。

保険審議会の答申

保険審議会においてもお客さまの信頼と期待に応えていくため変額保険開発の必要性が答申され、1986年(昭和61年)10月から変額保険が発売されました。

経済・金融情勢の変化に敏感に反応

変額保険の資産運用は、主に株式や債券などの有価証券を中心に行われているため、経済・金融情勢の動きに極めて敏感に反応するという特徴があります。

変額保険の販売に際して

「安全性を確保しつつ「収益性」も追求したいというお客さまのニーズの多様化に対応するため、長期的な「収益性」を追求する資産運用を原則にしていることを念頭に置き、短期の運用実績ばかりを強調するのではなく、「保障性」を兼ね備えた保険商品として長期的な視野に立った販売を行っていく必要があります。

(注)現在の金融審議会(内閣総理大臣、金融庁長官、財務大臣の諮問機関)

変額個人年金保険の販売の背景

1.米国における変額個人年金保険販売の状況

変額個人年金保険市場の拡大

米国において、終身保険や定期保険などの死亡保障商品の市場が鈍化する一方で、変額個人年金市場は1990年代前半から拡大し、変額個人年金保険が有力商品として定着しました。

その背景としては、老後に向けての長期的な資産形成商品に関心が高まる中で、「株価上昇などにより高い収益が期待できる点」や「年金受取時まで運用収益が課税されない『課税繰り延べ効果』」等の変額個人年金保険の特徴が市場のニーズに対応していることが考えられます。

2.日本における変額個人年金保険の発売

金融商品に対する意識の変化と自己責任による資産形成ニーズ

長引く超低金利の中で、リスク性金融商品には保守的といわれてきた日本でも、消費者の金融商品に対する意識は大きく変化しました。

また、少子高齢化の進展による老後生活保障に対する不安により、自己責任による資産形成ニーズが高まったことを受け、そのような消費者ニーズに対応するために、1999年(平成11年)から変額個人年金保険の販売が開始されました。


「年金を自助努力で準備したい」という人はもちろん、「より有利な形で積極運用したい」「相続対策を今から進めたい」など、さまざまなニーズに応える金融商品として、2002年(平成14年)10月の「銀行窓販」での年金商品解禁から、変額個人年金保険の販売件数は、一時払契約を中心に拡大を続けていましたが、2008年(平成20年)9月のリーマン・ショックなどにより金融情勢が不安定となったこと等の影響を受け、その実績は一時期大きく減少しました。以降の販売件数は若干持ち直したものの国内外の経済に不確定要素は多く、株価の急落などに伴う金融商品としてのリスクについて、お客さまへの十分な説明がより一層求められています。

ここまでを問題形式で復習してみよう!

第1問 次の説明が正しいか否かを答えてください。

~問題文1~
金融の自由化には「金利の自由化」「業務の多様化」に関するものの2つがある。

~問題文2~
金利の自由化として、国債の大量発行や金融の国際化による公社債市場や海外市場といった「規制金利市場」が拡大した。

~問題文3~
米国において変額個人年金保険市場は2000年代前半から拡大し有力商品として定着している。

~問題文4~
1980年(昭和55年)には500万円弱であった平均金融資産保有額は、1989年(平成元年)には1,000万円を超え、2022年調査では1,698万円となっている。

~問題文5~
お客様との信頼に応えていく為「税制調査会」において変額保険開発の必要性が答申され、
1986年(昭和61年)10月から変額保険が販売された。

~問題文6~
金融の自由化や顧客ニーズの多様化など環境の変化に対応する為、
1986年(昭和61年)に「変額保険」が発売された。

~問題文7~
少子高齢化の進展による老後生活保障に対する不安により「自己責任」による資産形成ニーズが高まったことを受け1999年(平成11年)から「変額個人年金保険」の販売が開始された。

~問題文8~
1988年(昭和63年)に生保業界でも国債の窓口販売業務が開始され、1998年(平成10年)12月から証券業界でも保険商品の窓口販売が解禁された。また、2001年(平成13年)4月には銀行等による保険商品の窓口販売(銀行窓販)が一部の保険商品で開始され、2002年(平成14年)10月には生保の個人年金(定額・変額)と保「財形保険」、損保の「年金払積立傷害保険」と「財形傷害保険」まで取扱い範囲が広がった。

~問題文9~
変額個人年金保険は、1999年(平成11年)から生命保険会社で販売が開始され、2002年(平成14年)10月の「銀行窓販」での年金商品解禁から販売件数は一時払契約を中心に拡大を続けたが、2008年(平成20年)9月のリーマンショックなどにより、金融情勢が不安定となったこと等の影響を受け、その実績は一時期大きく減少した。以降の販売件数は若干持ち直したものの国内外の経済に不確定要素は多く、株価の急落などに伴う金融商品としてのリスクについて、お客さまへの十分な説明が一層求められている。

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>>第2章-①変額保険とは

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